あれもちがう、これもちがう…。このハンコはいったいどの通帳の!?

私の母は娘の私とは正反対で、昔から大の整理整頓・きれい好きである。 実家の引き出しの中はいつも小さな仕切りやかわいいお菓子の空き缶などできちんと仕切られ、ペンやはさみといった文房具、鍵類、ばんそうこうや風邪薬といった救急用品、そして銀行の通帳や印鑑が規則正しくしまわれていた。 独り暮らしをするようになったとき、母から言われたことは『あんたの部屋はどうせすぐ汚くなるから大丈夫だと思うけど。万が一、泥棒なんかが入ったときに備えて必ず銀行や郵便局の通帳と、印鑑は別々にしまっておきなさい』とのこと。そういえば、母は確かに『秘密の隠し場所にしまっているのよ』と言って、印鑑類は通帳なんかとは別の場所にしまっていた。 さて、いよいよ一人暮らしを始める際、母から一通の通帳を渡された。私が今までもらったお年玉やお小遣い、入学祝などをきちんと管理・貯金してくれていたのだ。 新天地での生活に向け、くだんの通帳からお金をおろそうとしたのだがいざというときに窓口のお姉さんから衝撃の一言が。『お客様、恐れ入りますが…。こちらの通帳に登録されている印鑑と、本日お持ちいただいた印鑑は別のものでございます』 どうやら母は、父の給与振込口座やら学費の引き落としの口座やら母が独身時代に造った口座やらさまざまな印鑑を整理整頓はしつつも一家歩に保管していたらしい。私の口座の印鑑とそっくりのものがもう一本あったらしく間違えてしまったようなのだ。以来、自分で口座を作るようになってからは登録する印鑑は個性的でかわいらしいものを選んでいる。郵便局はピンク、地方銀行は和風の花柄…といったように。